『少年のアビス』(集英社)という漫画に今読んでいる。
2巻まで無料だったので読んでみたらハマってしまった。
主人公やその他登場人物が田舎ならではの人間関係やしがらみを抱えながら地元で生きていく物語だ。
皆自分を不幸にする地元から出ていきたい。地元にいることで心の底に闇を抱えてしまい、生きるのが精一杯なはずなのにそれでも地元にそして死にしがらみついて生きている。決して前向きな気持ちで生きているわけではないけど、どこか逞しく生きている感じがする。
主要人物がもれなく不幸の道に進んでいて救いようがないし読んでいて辛いけど、なぜか読んでしまう。
特に感情移入というか、心が締め付けられそうになる人物がチャコと呼ばれる高校卒業したら東京の大学に行くことを夢見る女子高生である。
他の登場人物に比べて不幸度?は低い。他の登場人物は確かに救いようがない道を歩んでいる気がするけど、どこか現実離れというか自分には縁のなかった世界なのでフィクションとして見れていた。
それに比べてチャコははたから見ればごく普通の家庭で生まれた何も問題がないような人物である。
ただ表面上両親や祖父とうまくいっているようで、心の底では憎しみの心があるような描写をしていた。
印象的だったのが、チャコが東京の大学に進学することを祖父や父が反対し、母親を通して地元の大学に進むことを伝えたこと。
文章で書いてみると些細なことに思われるが、親子の間に大きな溝があると感じた。
作中でチャコが人として扱われていない。私はペットのようなものだと言っていたが、決して大げさではないと思う。
どこの家庭でもありそうなリアルな状況だからこそ、胸がキュッとなってしまった。
今現在16巻ほど出ており、まだ4巻までしか読んでいないのでチャコがどうなったのか分からないが、登場人物の中で唯一と言っていいほどまともな人間なので幸せになってほしい。
コミックシーモアなどで2巻まで無料で読めるので気になる人はぜひ。