人生模索中日記

人生後ろ向きに生きることも大事

採血担当の看護師

新卒で入った会社の健康診断は隣町の総合病院で行った。総合病院ということもあり、検診に来ている人は大勢いた。看護師さんはタブレットを使用しながら患者さんを次から次へと捌いていた。地元に大きな企業がいくつもあるので、そこの社員がぞろぞろと検診にやってくるのだろう。

そこで出会った採血担当の看護師さんが今でも忘れられない。

その人は耳が聞こえづらいらしく補聴器をつけていた。胸の部分には耳が聞こえづらいです。みたいなことが書いた名札があった。

採血の席が5席ほどあり、私はその人に採血をしてもらった。採血する前にその人は「耳が聞こえづらく話しづらいのでご了承ください」とおっしゃった。

私の前の人にも言っていたので、おそらく全ての患者さんにそのような事を言っていたんだと思われる。

 

それから2年後、再び健康診断に訪れたところ、また採血でその人に出会った。そして以前同様「耳が聞こえづらく話づらいのでご了承ください」とおっしゃった。

地元の大きな総合病院なので患者さんの数が多いはず。今まで何人もの人の採血を行ったのだろうか。そしてその度に耳が聞こえづらいこと、上手く話せないことを伝えたのだろうか。

それも仕事の一つと言われたらそれまでだが、自分の欠点を相手に伝えることは、結構心理的負担になる。私も仕事ではじめて会う人には障害を伝えようと心掛けている。わりと勇気をもって。しかし入れ替わりが激しかったり、忙しかったりすると言うタイミングを逃してしまい、そのままなあなあになってしまう。

その結果、軋轢が生まれてしまうのだが。

 

私がメンタル弱いだけで相手はどうとも思ってないかもしれないが、彼女はとても強い人間だ。看護師になるまでの過程は分からないが、おそらく試験や実習があり、それを乗り越えたのだろう。

 

密かにその人を尊敬している。

あの人は今でも看護師を続けているのだろうか。